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気がつけば乗り鉄。Z49次 北京西〜成都

安住生活 2019-06-28

気がつけば乗り鉄。Z49次 北京西〜成都

食堂車が楽しみな成都局の長距離列車


                    百度地図より出てきたZ49次の大体ルート
       

 端午節乗り鉄第2弾は北京〜成都間のZ49次に乗ってきた。2014年1月より運行をはじめたこの列車は、2356㎞を21時間28分という時間で結んでいる。他にも同区間を結ぶ3本の旅客列車が走っているが、この列車が一番速い。

 この列車の楽しみといえば食堂車。食堂車の食事ができる列車が減っていく中、21時間というゆったりの時間で同列車自慢の食事を堪能する楽しみもある。

       
01インフラの恩恵で蟻地獄の成都発の列車が変わった

 北京〜成都〜広州の行き先表(サボ)

                                   

 かつて、90年代から00年代にかけて、山に囲まれた四川省成都市の成都駅は路線の少なさがネックで切符購入が至難の業だった。鉄道で抜け出す算段が見つからず90年代に読んだガイドブックでは蟻地獄と書いてあるほどだった。

 特に成都から北京に向かうT8次の寝台切符を買うことは大手の旅行会社を通しても希望の切符にありつけるのは物理的に不可能だった記憶が残っている。


 しかし、その後インフラの発達のおかげで成都行きの切符も徐々に買えるようになりはじめ、17年より西安〜成都間で高速鉄道が走るようになると、高速鉄道の本数もだいぶ増え、繁忙期を除けば大体手に入れられるまで進歩した。

途中停車した鄭州駅での1コマ

 そんな中、今回乗車した2014年1月に誕生した新規列車で、10年の宜昌東〜重慶北間が開業し、14年7月には同区間を動車組が走るまでに至っている。登場したてのときは、買いづらい軟臥車両が3つも連結しており、そのうち1両分は途中停車する重慶北駅に割り当てられていると言われ、ネットユーザーが歓喜していたことは記憶に新しい。

 この列車は北京→成都→広州という順番で運転しており、今では軟臥車の編成を5両まで増やしているのだから軟臥切符を難なく手に入れられる列車となっている。これは北京〜成都間(もしくは広州〜成都間)を快適に車内を移動したいと考えている人にとっては理にかなった編成である。

02理想のダイヤで出発進行

北京西から漢口までは電気機関車の和諧D3Dが牽引する

 Z49次の北京西駅発車の機関車は和諧D3D。この機関車は湖北省武漢市の漢口駅まで担当し、約1200㎞を10時間32分で結ぶスプリンターだ。

 最近ホームからの機関車ハミ出しが多く撮り鉄を失望させる中、この列車はきちんとホームの中に収まってくれている。ありがたいことだ。

25T系の軟臥車のベッドは緑の復興号の一等臥(軟臥)より快適

 今回乗った軟臥車は加2だったが実質は5号車。個室にはすでに3名の乗客がいた。全員成都に戻るのだという。外国人だと言ったら驚かれて関心を持たれた。そして、お約束の質問攻めがはじまる。日本のどこ出身だ。どこで働いているのか、結婚しているのか、四川人の女の子はどうなんだ、なんで鉄道が好きなんだ、と毎度うんざりする質問が来るが、向こうは関心を持っているのだから仕方がない。何とか質問に回答したあと、今度はいろいろと世話を焼いてくれる。

 いや、お湯の使い方は慣れていますよ、と申し訳ないが逃げたくもなる。どちらかと言うと、自分の世界に逃げたかった。

 ベッドにゴロンと横になり、持ってきた小説やスマホを弄る時間。申し訳ないが、なかなか楽しい(笑)。乗務員に切符と寝台札を交換したとはとりあえず寝た。


北京西駅を発車して20分後、周口近くで京広線本線と合流する

 11時28分に同駅を発車したZ49次は、翌日の9時前には成都駅に着く。午後は丸々自由に時間を使え、翌朝は起床したら終点が目の前に迫っていたというダイヤは素晴らしい。深夜遅く終着駅に到着して、真っ暗の中宿を探す手間を考えれば、こういう列車が増えてくれると正直もっとうれしい。


03料理は高いがご飯のお代わりは自由

Z49次の食堂車内。コンではいなく普通に座れた

 17時に黄河を渡り河南省鄭州市の鄭州駅に到着した後食堂車に行く。食堂車は3両目にあり、前2両は座席の硬座車がある。どうせ無座客が溢れかえっていると予想していたが、あっさり座れた。最近の動車組や客車では食堂車の販売カウンターを残して、座って食べるスペースを寝台や座席車に改造したりしているので、正直食堂車の将来は明るくない。

座ったテーブルはムスリムを意味する清真だったが普通に注文できた

 また食堂車が残っていたとしても最近はプレートにおかずを載せたセットご飯が増えているので面白みも減っている。10元代のぶっかけご飯なら許せるがプレート飯も40元を超えると使うきを無くす。あれ?何だか単品を普通に注文できる食堂車も希少になってきているぞ。

Z49次の食堂車のメニュー。肉料理系の高さに引いた

 テーブルの上に置かれたメニューを見ると、うっ、と引くほど単品の肉類の価格も案外高かった。魚香肉絲48元、宮爆鶏丁45元、回鍋肉48元…と食堂車でよく食べる単品は予想を超えた価格。仕方なしに番茄炒蛋28元と番茄炒蛋28元に2元のご飯を注文する。もしかして、食堂車に乗客が少ないのはこの単価の高さがネックなのか…と穿ってしまう。

 確かに、ワンゴン巡回で弁当も売っていたが、こちらは25〜35元。2個食べれば肉料理の価格に届いてしまう。お金に余裕がなければ弁当か駅前の店で食料調達してしまう。






番茄炒蛋と麻婆豆腐ご飯はおかわり自由だから助かる。当たり前だが麻婆豆腐は辛くて美味い

 やって来た料理のうち麻婆豆腐は絶品の熱くて辛い料理。口の中に広がる辛さが食べる意欲を奮い立たせる。美味いけど辛い。吹き出す汗をハンカチで拭きながら一生懸命ご飯を進める。やっぱり四川省の列車だから総じてご飯が美味い。ご飯はおかわり自由。ご飯を2杯もお代りすればたちまち満腹となった。

 お酒は飲まないので、近くのワゴンから水を3本買って口の中を冷やす。辛いけど美味い。これ成都鉄路局の旅客列車のイメージです。


04遅延もなくスヤスヤ

22時には漢口駅に到着

 食事をしている最中でも、列車は河南省を爆走中。走っている京広線(北京〜広州区間)は中国鉄道のなかでも主要幹線路として一時期は線路のキャパが足りず遅延の原因にもなったが、並走する京広高速鉄道の開業のおかげで、北京〜武漢間の遅延の心配はなくなった。

 スマホでオンライン地図を見ると、いまのところ快調に飛ばしている。漯河、駐馬店、信陽、花園、孝感という中ランクの駅を通過し、ぐんぐん南下している。残念なことに車内に速度表示は出ていなかったが、140㎞以上は出していた。


 オンタイムで漢口駅に到着後、同駅で20分間停車する。この駅では何故かトイレは施錠される。床下収便装置があるから駅のホームそばに汚物が流れ出ないのに何故か使えなくしてしまう。以前、理由を聞いたら「規則だから」の一点張り。もう少し、理論的に考えてもいいと思うが、上の命令だからとそのまま従う姿勢だから無理なんだろうな。


沿線では、都市部を除けばのどかな光景が広がるが、草ボーボーのところも多く、お世辞にも景観はいいとは言えない

 漢口駅を発車した後、動車組も走る漢宜鉄道(漢口〜宜昌東)を走る。こちらも快調だ。次の宜昌東駅の到着は24時28分なので、歯を磨いて就寝する。ベッドは緑の寝台動車組復興号よりも広くそして快適。無線ランがないことと、電源がテーブル下に1カ所しかないのが不満だけど、1晩だけだし充電器も持っているので問題はなし。床から聞こえてくる加速の音に抱かれながらこの日は久しぶりにぐっすり眠れた。


05油断できない、終点到着前の信号停車待ちは落とし穴

朝食は、北京西駅近くのセブンイレブンで買った出前一丁のカップラーメン 

 翌日6時前に目が覚めたら長い時間駅に到着していた。スマホで地図を見ると重慶市の重慶北駅に到着していたが、トイレに起きることなく2度寝をした。次の7時に目が覚めたときは、四川省遂寧市の遂寧駅手前を走っていた。いよいよ終点が目の前だ。

翌日は終点の1歩手前の遂寧駅に停車

 同室の人たちは人早く朝食のカップ麺が出来上がるのを待ちわびていた。「日本人も好きかい?」と聞かれたが、「私も好きです」と答えておいた。

 遂寧駅では、達州から来た遂成鉄道(旧名達成鉄道)と合流。この路線は旅客線と貨物線が分かれている複々線である。成都から重慶の動車組が走るようになってから、この区間の線形は改良され、貨物線を除く線路は時速200㎞の動車組が頻繁に走っている。成都と重慶間のG高速鉄道とDの動車組は1日85本も走っているので以下に30年前と比べてこの区間の路線が充実してきたか分かる。

 8時30分を過ぎて、乗務員が預けた切符の返却に回ってきた。もうすぐ到着の合図だ。ところが終点手前で急減速。ヤードのあるところで停車。動かなくなった。恐らく信号の停車待ちだと思うが、終点前の停車待ちは結構恐ろしい。


 以前、北京から貴州省の貴陽に行ったとき、終点到着直前で2時間停車。2時間の遅延となった。また、成都から広州に戻るZ124次列車(Z49次の間合い運転)に乗ったとき、途中客扱いしない広東省の紹関東駅で謎の4時間もの抑止。

 特に事故や天候といった原因ではなかったのでなぜあそこで4時間も停車していたか理由が分からないので余計に怖い。その時は広州に17時到着が22時到着になり、苦い思いをしたトラウマがある。


3分遅延して成都駅に到着。ホームの床が低いため、乗務員は乗客の荷下ろしを手伝ってくれる

 今回は次に成都東駅まで行き乗り換える列車があったため、乗車前の数日間、この列車の遅延情報を確認していたが、ほぼオンタイム、もしくは10分の早着があった。最悪1時間以上の遅延はアウトだと覚悟をしていたが、10分ほど停車したあとはガックンとほどなく動き出しスルスルっと成都駅に滑り込んだ。

 1番線の底床ホームに到着したあとは、同室者の人たちと別れを告げ、成都駅から成都東駅を結ぶ地下鉄7号線の入り口に向かって走っていった。

成都駅前から地下鉄7号線の入口に向かう。成都駅から成都東駅まで約30分ぐらいの移動

 この列車、広州から成都までの間合い運転をしているが、成都着が23時なので、おすすめできない。逆ルートを推奨したいがまた途中駅で抑止を食らうことを思い出すと、うーんとなる。いい加減、成都から広州区間の寝台動車組のよる運転を行ってもらいたい。


   

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