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【隊長の出発進行!】乗れるうちに乗っとけ、北京昆明のプルマン寝台新幹線

【隊長の出発進行!】乗れるうちに乗っとけ、
北京昆明のプルマン寝台新幹線

北京駅から回送するプルマン寝台新幹線

 コロナ禍と北京冬季オリンピック開催に伴う都市間の移動規制が徐々に厳しくなっていく中国ですが、こんなときは机上の想像ではないけど、楽しい旅行記でも読んで今後のお出かけの予備知識にしませんか?

 今回ご紹介する列車は北京西~昆明南間を結ぶプルマン式(通路を挟んで2段の寝台を進行方向に設定)と呼ばれる寝台新幹線のD939/40次。2700㎞離れた同区間を一晩15時間で行けてしまうのも魅力的だが、何より中国ではまだ2編成しか生産されていない希少車であるため、壊れて乗れなくなる前に一度は乗っておくことをお薦めしたい。


正式運行は2017年7月より、

2021年4月ではありません

 この列車、ネットの一部のニュースでは2021年4月より北京西~昆明南間の運行を開始したと報じられているが、実は2015年にラインオフされ17年7月より北京~上海間で運行を開始していた。2編成しか製造されていないためプロトタイプの意味合いが非常に強い。筆者はこのプルマンタイプの寝台新幹線には2017年7月(上海~北京)と20年11月(北京西~昆明南)に乗車しているため、昨年4月より運行開始のニュースは完全な誤情報である。19年4月の時点で昆明郊外でこの車両を見ているため18年末か19年頭には運行区間が変更となった可能性が高い。


ベッド配列はスタッガード式

 この車両の特徴として、すでに導入されていた寝台新幹線の内部構造をガラリと変えてきた点である。というのも、寝台新幹線のベースはCRH2E(ルーツを辿るとJR東日本のE2系1000番台)の新幹線車両に中国の長距離列車でおなじみの1部屋4人部屋の軟臥を詰め込んでいたが、いかんせん新幹線の車両の天井が低いため、上段ベッドはお世辞にも頭上空間が快適とはいえない狭さと荷物を天井の隙間に置けなくなったことがネックだった。

北京西駅に停車中のD939次は特別なCRH2E

食堂合造車の軟臥は今や座席代わりになっているが夜通しの乗り心地はよくない

 しかし、今回のプルマン新幹線は先端車両と中間車両の長さをそれぞれ1.1m伸ばし、車両の高さを30㎝高くし横幅は8㎝シェイプアップした。外観正面はかつてJR東海を走った500系を意識した洗練されたデザイン。車両サイドは窓が上下に横一列ずつ並んでおり、これは上段ベッドからでも車窓を楽しめるように設計されたものだ。外観正面はJR東海の500系を意識した洗練されたデザイン。

 寝台は真ん中の通路を挟んで左右に列車の進行方向に合わせた2段のベッドを1列ずつ並べている点である。しかも効率よく乗車させるために、最近の飛行機のビジネスクラスで見られるスタッガード式(日本語で千鳥足)タイプを採用。ベッドを互い違いに配置することで他の乗客に干渉することなく通路に出やすくしている。

プルマン寝台の内部。仕切りはカーテンだけど従来の軟臥より利用しやすい


コロナで左右される運行日程

 プルマン式寝台新幹線の運行時間帯は金土日月の週4日に限定されているが、筆者が20年11月に乗ったときは雲南省の国境付近でコロナ患者が蔓延していたため、北京入りを規制するために運行本数を絞っていた。本来なら双方の起点から発車していたが、このときは純粋に1日置きにしか運行しなかったため、乗る日が限られてしまいスケジュールを組むのが大変だった。

2022年の春節前の運行だと、1月26日より同月いっぱいは運行する

 さすがに春節前の帰省ラッシュともなると、逼迫する輸送力を解決するため運行日数を追加することもあるが、全国でコロナが蔓延しつつあるなか春節前の移動規制が呼びかけられているのか、寝台切符は結構余っている(二等席は発売制限をかけているので発車直前にならないと買えない)。22年1月は24日までは金土日月だが、25日(水)より2月1日の春節当日まで毎日運行となっている。もちろん、昆明でコロナ陽性者が見つかれば下手すると運休も免れないため乗車して降りるまでは綱渡りの日々となりそうだが。


乗り心地は悪くないが

閉所恐怖症にはキツイかも

 このプルマンタイプのD939次は、19時35分に北京西駅を発車して翌日の10時30分には昆明南駅に到着する賞味15時間の夜行コースである。同区間を走る長距離列車最速のZ特快でも35時間コースだから、寝台新幹線がどれだけ便利な存在なのかは一目瞭然だ。切符代は長距離列車より若干高いが、20時間速く着くことを考えれば安いものである。

プルマン寝台の中間車両は窓が上下に並んでいる

 寝台新幹線は高鉄車両や動車組と同じ扱いで乗車する際、乗務員にいちいち身分証(外国人ならパスポート)を見せる必要がないのである。空いているドアから乗車して目的の車両のベッド位置に辿り着けるのも幾分ラクチンだ。

 車内は通路面を除けば完璧な1人用半個室となっており、テーブルや充電用電源設備、室内照明と読書灯などはベッドごとに設けられているため、従来の軟臥より設備は良くなった。通路とベッドの仕切りはカーテン1枚というのが気になるが、通路に出やすくするならこの時点の技術レベルでは妥協だったのだろう。

 ベッドの長さは190㎝に達しておらず身長180㎝の人が乗るとギリギリ足がつま先まで伸ばせるレベル。枕元の周りはテーブルと一体化した壁が目の前に迫っており、足のつま先に部分には別ベッドの枕元スペースカバーがあるため、先端は細くなっている。お腹や腰部分以外は壁で囲われるようになるため、閉所恐怖症の方には不向きかもしれない

下段の足の入れるところはこうなっている


新幹線の性能をフル発揮!

 北京西駅を発車したD939次は、京広高鉄線の上をゆっくり走っていく。市街地だからペースを上げなかったが、永定河を越えるころにはドンと速度をアップ。さすがに他の高速列車のように時速300㎞にこそ届かないものの、最高時速250㎞まで5分とかからない。速度計は100㎞台から200㎞台、そして250㎞台に到達し従来この寝台新幹線が持つスペックをフルに生かしている。

 17年7月に上海~北京間で乗ったときは終始時速160㎞が限界の在来線を走っていたため歯がゆい感じもしたが、北京昆明の運用に就いてからはストレスなくのびのびと飛ばしている。まさに水を得た魚の如き加速っぷりだ。こういう速度を体感すると気持ちがいい。

最高時速は250㎞まで出せる

 コロナが蔓延していたため、さすがに満席ではないが、1車両につき30名ぐらいは乗車していた。軟臥との合造車である食堂車は売店のみ設置されており、乗客が座って食べるスペースは省かれている。むしろ、寝台乗客に対してはパンやお菓子の詰め合わせの軽食がサービスで配られることもあり、最悪飢えることはない。また、北京西駅周辺にはセブンイレブンやファミマといった日系コンビニもあるので食料確保に苦労はしない

配られている軽食と箱の中身

 すっかり夜の帳が下りた暗闇の中をプルマン新幹線は黙々と進んでいく。途中河北省の保定東には20時21分、石家庄には21時22分に到着し、幾人かの乗客が乗り降りしてきたが、通路を歩く音やキャリアケースを転がす音はそこまでうるさくなかった。むしろ親類同士や友人同士が乗車した場合の弾む会話が非常に気になるものだが、今回に限っては静かな夜を過ごせた。河南省の鄭州東着は23時13分。この日は終わり眠りについた。


乗車のトラブル。データ通信ができない!

 夜中にトイレに行くため目が覚めたとき、同列車は湖南省の長沙南で一旦停止していた。次に目が覚めたときは6時近く、懐化近くを走っていた。

 懐化南を過ぎると問題は突如起こった。懐化を過ぎると当時使っていた中国聯通のデータ通信(4G)ができなくなっていたのである。最初は山の中を走っているから電波障害による不具合と勝手に想像していたが、後で知ったのだが、このころの中国聯通は5Gの普及を推進すべく基地を4Gから5Gに置き換えているため、そのせいで中国聯通4Gと契約しているユーザーは(当時)河北省の一部と湖南省、貴州省の一部でネットのデータ通信ができなくなってしまっている。ただいま旅行中一番困るのはスマホが使えなくなることだ。

貴州省の高鉄内は中国聯通の4G電波が使えない

 スマホによる支払やチャット機能も今や生活に欠かせないが、20年より中国が導入した本人が健康であることを証明する健康コード(しかも地域ごとに健康コードの種類が違うため目的地に合わせてご当地コードを予め登録しておかないと厄介)の緑マークも表示できなくなると駅から出られない→隔離コースという笑えない事態が待っている。通信できなければ旅行自体が詰んでしまうため一瞬焦ったが、同月中に当時のダブルSimカードが使えるiPhone12を買うために先に買っておいた中国移動通信のSimカードを挿し直したら使えるようになったので助かった。
 列車はモクモク霧が覆う山中でも遅延することなく正確に走ってくれるのでここもすぐ遅延を出す長距離列車と違いストレスを感じさせ無い部分でもある。


昆明南に到着!しかし駅の外には出ず

 列車は7時18分に貴州省の凱里南、8時18分に貴陽北、そして10時30分に昆明南に到着。1分たりとも遅れることなく正確に着いた素晴らしさより、到着時間も早くないため2度寝できる美味しい思いも出来た。

乗車から15時間後の10時30分に昆明南駅に到着

 本来なら同駅に到着したあとは降りて市街地に出て観光と行きたかったが、コロナによる移動制限や各所で健康コードのチェックが面倒だったため、駅の外には出ず、乗換を示す「中転」のマークのある乗換場がある待合室に行くエスカレーターに乗っていた。午後一の列車で広州に戻るのである。「中転」では健康コードのチェックもなく、切符の確認もないため入るのに問題はなかった。

 待合室から外を眺めていたら、健康コードチェクのために駅前にはいくつもの列ができていた。また、北京に向かう列車に乗る乗客は待合室に入るのに安全検査を1回、専用待合室エリアに入るのにもう1度安全検査を受けなければいけない面倒な手続きが当時からあった。

ASEAN諸国と鉄道で結ばれた場合のハブ駅となる昆明南駅。21年12月にはラオスとの線路が結ばれ、将来ビエンチャン行きの国際列車が走る

 北京西昆明南のD939次は使用している車両が貴重な2編成しかないため、数年後この車両が壊れてしまうと2度と乗れなくなる可能性もある。残念ながら量産化の情報は一切耳に入ってこない。コロナが落ち着いて3月以降の北京から雲南まで行く旅行の機会があるならぜひこの列車の乗っておくよう強く薦める。思い出にも記憶にも残る列車なのだから。


D939次データ

区間:北京西(19:35)〜昆明南(翌10:30)

距離:2760㎞

料金:プルマン下段1060元〜/上段890元〜

2等席851.9元



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